BSマンガ夜話「虹色のトロツキー」

虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)

虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)

実は読んでいないのだ。安彦良和原理主義者を自称しながら。
うーん、やっぱりアニメーターとして、イラストレーターとしての安彦良和のファンであって、マンガ家としての安彦良和ファンではないのかも。>自分。

なんと、ゲストは体を鍛えた結果、風貌が変わって松山千春みたいになった高千穂遙。ある意味この人の声を聴くのは始めてかもしれない。中学生、高校生の時に読んだ小説に、最近のアスキーでのエッセイの連載、最近は小松左京の「教養」の編纂など、なんとなく動向は追ってきているわけだが。初めて名前を目にしてから四半世紀経ってはじめて声を聴く機会に恵まれるとは、幸運なのか不幸なのか。

さて、番組内での出演者のテンションがどうも低い。しかも、夏目房之助までいしかわじゅん化している。絵が達者なのはわかるが、自分の好みでもないし、マンガとしては古いし、それほど高く評価できないというのがおおよその統一見解のようだ。
役割的に擁護派に回るべき高千穂遙も、積極的な応答ができず、安彦側に不利なまま最後は全員が「一定レベル以上だからこそ悪口を心置きなく言える」とフォローに回るというありさま。私がこれまで見たマンガ夜話でも、もっとも作品に対して厳しい内容だったんじゃないだろうかと思う。

異業種からの参入してきた天才的な画力を持つ作家に対して、絵があんまりうまくないマンガ家が妬んで悪口言っている、というふうに下世話な見方もできる。ただ、私自身アリオン初期のあの衝撃に比して、連載途中からマンガらしくなるにつれて興味が薄らいだのはたしか。結局マンガらしくない部分に強烈にひきつけられていたのだ。また、主人公の毎回のいじけぶりにも食傷気味。とりあえず、韃靼タイフーンの続きは楽しみにしているし、読んでない作品もボチボチ読みたいとは思っている。

しかし、正直言って、岡田斗司夫と同じ意見。マンガ界が安彦良和を失うよりも、アニメ界が安彦良和を失っていることの方が大きな損失。アニメーション作品を作って欲しい。ヴィナス戦記が最後の作品だったのかな。

そして妄想しちゃう。宮崎駿と組んだりしたら、すごいことになるんじゃないか。ジブリの次回作、宮崎駿監督、作画監督安彦良和にならないものだろうか。

ただ「アリオン」が連載されていた頃、安彦良和の絵は「たがみよしひさ」などの漫画家にも影響を与えてたと思う。もう少しそういったブームについての言及をして欲しかったような気はする。岡田氏がもう少しがんばればよかったのか。