晩減る寝具

夜寝ていたら、ヨメに少しずつ布団を奪われていて、いつの間にか掛け布団なしになっていて寒くて目が覚める、という私の最近の体験に基づく映画、ではない。

先日、ヨメと TSUTAYA のレンタルの話になった。私が新作は高いから借りない、って言ったらヨメに「せこーい、超せこーい。みみっちー」と言われた。大阪弁なので「セクェー、チョーセクェー、ミミチー」みたいな発音だったけど。

これで奮起し、会社帰りに通勤路の途中にある TSUTAYA に寄って散々迷ったあげく「ヴァン・ヘルシング」を借りた。できれば当日に返したかったが、不安なので一泊二日に。470円くらいだった。小額なのでどうかと思ったが、TSUTAYA のカードがクレジット付きなので、クレジットで払った。食事をしながら「愛のエプロン」を観た後「A.I.」を録画しながら「ヴァン・ヘルシング」を鑑賞。

主人公は X-MEN でも狼男風だった俳優。なんだか X-MEN と同じキャラクターだった。どうよ。修道僧である主人公の従者は「ロード・オブ・ザ・リング」のボロミアの弟だ。こちらは、二つの映画で演じるキャラクターの性格があまりに違っていて感心。ヒロインはそれなり。ドラキュラはなんだかウォール街の中堅証券会社のマネージャーみたいだ。

お話はといえば、なんというか、バカ映画っぽい。ドラキュラや狼男など性的なテーマと切り離せないはずの怪物総動員なのに、小学生のグループ交際くらいプラトニックな映像表現しかなくて拍子抜け。女性吸血鬼なんかも、日本のアニメだったら人間の全裸に羽が生えた状態で飛び回りそうだが、なぜか人間の容貌から妖怪風に変化して、しかも体が出来損ないのミイラ男みたいになってしまうので、セクシーさは微塵もない。この三人の女吸血鬼とヒロインの顔つきくらいしか色気のあるシーンがないというのも凄い。子供が見ることのできるレートにするためだろうか。

もちろん残酷シーンもほとんどない。冒頭でハイド氏の腕を切り落とす CG のシーンが少し気持ち悪かったくらい。この映画のテレビ CM でよく流れていた女性吸血鬼が牛を建物に叩きつけるシーンに関しても、少し後のシーンで牛がのんびりその家の玄関に立っている光景を入れていた。あんなことされても牛は死んでいなかったわけで、よかったよかった。牛好きにはほっとする一瞬である。ただ、一事が万事その調子なので、吸血鬼集団が村を襲って大量虐殺をおこなうシーンにも、緊迫感や恐怖はない。「なんだか、楽しそうにワーワーやってはりますわ」という印象。東映マンガ祭りで放映してもいい内容だ。ただ、東映マンガ祭り100年分くらい金がかかっているはずで、割り切って観れば楽しめるはず。

もともと、ミニシアター系の映画などはヨメが拒絶するので、悩んだあげくこの作品を借りてきた。「萌えの朱雀」の記念すべき初回上映に行ったのに、いまだにヨメには「おもしろくなかった」って言われる。ジョン・ウーの作品みたいに、ジャンプしながら両手で持った銃で撃ち合うシーンが好きらしいので、当然かもしれない。

映画終了後「しばらくぶりに新作借りた。500円弱した。」って言ったら、「高えー、超高えー、もったいない」(発音:タクェー、チョータクェー、モッタイネー)って言われた。
どうすりゃええねん。

今度こそ、もう新作は借りないぞ。