マルホランド・ドライブ

マルホランド・ドライブ [DVD]

マルホランド・ドライブ [DVD]

わけわかんね。でも、最後までじっと見てしまう。面白い。なぜだろう。謎解き遊びもいいけど、わからないまま観てて深層心理が理解してる、っていう状態が気持ちいいんじゃないか。

撮影してるのは、ごく普通の米国の町並み。安っぽいん軽食店裏のコンクリートの壁をじーっと写してるだけでなぜあんなに怖いのか。音の効果もあるだろうが、デビッドリンチ自身が、何でもない街角の死角や笑顔の老人や、ごく普通の光景の中に恐怖を感じてるからだろう。デビッド・リンチのこの技を身に付ければ、お化け屋敷やホラー映画などを探さなくても、家にじっとしているだけでいくらでも怖くなることができて経済的だ。そのかわり、健康にはよくなさそうだが。

全然関係ないけど、デビッド・リンチって美しいものがよくわかっている。
一番わかりやすいのは、出演する女優が魅力的ということ。「デューン」はショーン・ヤング、「ブルー・ベルベット」のイザベラ・ロッセリーニ、この映画のナオミ・ワッツやローラ・ハリング。常識的には美しい姿とは言えないような姿をさらしてしまうこともあるこれらのヒロインがとても魅力的に写っている。他の映画では全然魅力が伝わってこないんだけど、デビッド・リンチや、あと、たとえばリドリー・スコットが撮影した映像を見ると、ほんとにこの世のものじゃないくらい美しくなるから不思議。この映画でも、劇場で偽の演奏や偽の歌で涙を流す挿話があるが「偽物」を冷徹に見据えてるからこそ映画という架空の世界に現実と異なる美を作り出せるんじゃないかなあ。