猿の惑星 オリジナルを超えられなかったか

猿の惑星 ― Planet Of The Apes (通常盤) [DVD]

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オリジナルはガチガチの SF 作品だ。しかし、この作品はなんだろう。ファンタジーだろうか。合理的な頭脳があるとまったく理解できない部分が多い。ストーリーの辻褄というより、登場人物(猿物含む)の心理のリアリティがまったくなかった。それが原因で感情移入できず。

  • オリジナルの人類は現代の猿なみに知能が退化していたので、猿から狩られ捕まえられる存在でも違和感がない。しかし、本作品の人類は知的に現代人との差がないようなので、猿との関係があれほど一方的な従属関係になるとは思えない。
  • 主人公を助けて、最期は自分の同族の大量虐殺に何の抵抗も示さず加担するヒロイン猿は頭がおかしいのか。
  • 人間のヒロインは、何のために存在していたのか。男性ファンへのサービスか。ティム・バートンが映画に出してやるって口説いてて、無理やり役を作ったのか。

オリジナルの非常にわかりやすい寓意が意味を失ってストーリーが迫力を失っている。オリジナルに比べて勝っていたのは、猿のメイクの細かな進化くらい。事前に誰が出ているのか知らなくても、元の俳優の顔がわかるメイクはなかなかすごい。グリーンマイル猿とか、ネメシス猿。やっぱり、猿は有色人種担当のようだ。

オリジナルではチャールトン・ヘストンが、主人公をやっていたわけだ。「ボーリング・フォー・コロンバイン」で、白人至上主義者的な心情を持ち続けていることを晒されたが、その視点で見ると、やはりオリジナルも有色人種に対する強い恐怖心が中心にあるのだろうか。