ようやく読み終えた「理由」

大林宣彦監督の映画が少し前にCSで放送されていた。残念ながら、一部しか見ることができなかった。大林的な演出の8割は苦手な私だが「青春デンデケデケデケ」に続いて「当たり」っぽい気がしたので、会社の図書室から借りてきて原作を読んでみた。やっぱり宮部みゆきって、うまいなあ。

一気に読み終えてしまった。と言っても、読みはじめるまで1か月近く借りっぱなしになってたような気もするが。
語り手は事件関係者へのインタビューを行う記者であるが、あくまでインタビュアーに徹しており、近頃のテレビでよく見かけるコメンテーターみたいに余計な無駄口を一切挟まず、どんな人物であるかは最後まで分からない。ある意味淡々と事件についての情報を読み手に提供していく。ただ、それが絶妙な距離感で、事件の関係者のだれかの視点であったり、神の視点による三人称の記述とは別の味が出ている。

ほとんどの人間は一生縁のない「占有屋」の存在や仕組みをわかりやすく、そしてそれに携わる人々の人間模様をリアリティを感じさせながら描写するのには舌を巻く。

理由

理由