鄭香均さんの「日本に来るな」はちょっとマズかった

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050126-00000070-mai-soci

<都国籍条項訴訟>管理職受験拒否は合憲 最高裁が逆転判決

 日本国籍がないことを理由に東京都の管理職試験の受験を拒否された韓国籍の都職員女性が、都に200万円の賠償などを求めた国籍条項訴訟の上告審判決が26日、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)であった。判決は「受験拒否は法の下の平等を定めた憲法に反しない」と初判断を示し、都に人事政策上の幅広い裁量権を認めた。そのうえで、都に40万円の賠償を命じた東京高裁判決(97年11月)を破棄し、原告の請求を棄却する逆転判決を言い渡した。原告の敗訴が確定した。
(略)
 判決は裁判官15人のうち13人の多数意見。弁護士出身の滝井繁男、裁判官出身の泉徳治の両裁判官は「法の下の平等に反し違憲であり、都に賠償を命じた2審は相当」などと反対意見を述べた。
 東京地裁は96年5月、「外国人には憲法の保障が及ばない」と請求を棄却。東京高裁は「憲法の保障は外国人にも及び、一切の昇進の機会を奪った都の措置は違憲」と逆転判決を言い渡したため、都が上告していた。【小林直】
毎日新聞) - 1月26日21時51分更新


もともと国家自体が、自身をたんなる行政単位以上のものであるかのような幻想を与えようとしている場合が多い。だから、たぶん一生日本で生活するなら日本国籍をとればいい、という割り切った考えが持てないことを一方的に責めるのもどうかと思う。私のように少なくとも国籍によって大きな不利も、逆に利益も得ずに生きてきた人間と違って、よくも悪くも国籍の問題と日々向き合ってきた人々だから、国籍について特別の思いがあるのは当然だろう。

ただ、それを考慮しても、私は今回の判決が不当だとは思わない。程度問題だからだ。

原告側として、たとえば、行政府のトップである総理大臣にもなれないとおかしい、ということなのだろうか。それとも、東京都庁の部長くらいまでは要求するけど、助役までは望まない、という程度なのだろうか。事実、都庁の職員にはなっているわけだし、完全に門戸を閉ざしているわけではないのだ。だから「あくまで程度問題だから、部長職くらいまでは認めてはどうか。今回の裁判官の基準がきつすぎる」といったコメントなら、もう少し建設的な意見が出る可能性があったが、あれでは思考停止的な無条件賛成派以外は、引いてしまったんじゃないかな。
イラク人質事件の家族のときもそうだったが、芸能人でなくても、マスコミ対応について慎重におこなわないと、一部のセンセーショナルな発言をリピートされることにより、本来の趣旨やニュアンスが完全に失われてしまう可能性もある。

また、私はマスコミ報道の中に見かけなかったが、韓国で外国人の公務員への登用がどの程度おこなわれているかも参考にすべきではないかと思う。欧州の例なんかは持ち出されていたようではあるが。

読売新聞のこの記事は意外と冷静というか同情的だが。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050126ic07.htm