魔法使いハウルと日の悪魔

魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉

魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉

借りていた本をようやく読み終わる。私の場合、映画が先だった。
宮崎駿にしては原作をかなり忠実に映画化していることに気づいた。もちろん、そのままは無理なので、いくつか大きく脚色している部分もある。
エンディングはそういった脚色の影響を受けて、原作と映画にかなり差が出ている。ただ、本質的なテーマは維持しているように思える。全体として必ずしもわかりやすくなく、混沌とした感じも原作と映画で共通している。
映画では、ハウルやソフィーたちと、荒地の魔女との関係が大きく変化している。原作ではハウルが戦い、逃げている対象は荒地の魔女。比較的こじんまりとした話に落ち着く。しかし映画では紅の豚などと同じものに対してハウルは直接的、間接的にプロテストしているようだ。これは、迫力のある地獄のような戦争シーンとともに、この世界の広がりをもたらしていると感じる。
そのためか、「現代」を示すらしいウェールズという場所の存在は映画では完全に消えている。また、かかしや魔法使いサリマンの部分は、大幅に省略した上で再構成されている。
もう一度映画を観てみたくなった。やはりあの映画は傑作なんじゃないかな。