病気の人について会社で相談

私が今年の4月まで所属していた部に言動がおかしな人がいる。と言っても、今の部は同じ組織内なので、いまだにお隣の部にその人はいるわけだ。以前から、その人には、単純な変わり者といったレベルを超えた精神疾患があると私は考えていた。本来は、仲のよい人や、上司が配慮して、何らかの処置を進めるとか、家族が気づくべきだと思うのだが、彼の場合そういった環境にないようだ。

仲のいい友人はいない。仕事も事実上しておらず、仕事上のつながりで話をする人もいない。プライベートなことを話そうにも、彼とコミュニケーションをとるのが非常に難しく、進んでそれをおこなう人はいない。精神疾患と性格は無関係だと思うが、どこかずるがしこく立ち回ろうとするところがあり、悪い印象があるので、人が好んで近づいてこない。そのため、まず一日誰ともまともな会話をすることがない。ほとんど一言も発さずに、8時に会社に来て、17時半頃に退社する。

上司とまともに会話する機会は期に二、三回。会社として決められた評価に関する告知の件だけで、多分最低の評価を毎年更新していると思われる。このときとばかりに、日ごろ蓄えた妄想を上司に向かってぶちまける。最大のものは、自分は管理職一歩手前までいったが、誰かに人事データを書き換えられたというもの。これを毎回繰り返す。年齢は40歳前半なのに、会社に入社して30年経つと平気で公式の文書に書く。冗談ではない。本気でそう思っているのだ。

彼は侮蔑や嘲笑の対象であり、嫌がられ嫌われることはあっても、会社で親近感を示されたり同情を受けたことはないんだろうと思う。これでは、もともと病気でなくても病気になってしまう。とはいえ、彼はもともと病気だったと思うが。

私も、きれいごとではない。一種笑い話として彼のことを人に話したりしていたが、少し罪悪感があった。また、精神疾患も内科的な病気と同じく放置すると悪化するとの話も聞いて心配になってきた。身近な人の顔色が毎日悪くなっていくのを観て、見てみぬふりをするのは人情にかけた行為だ。精神の問題はいろいろ微妙ではあるが、特に先天的なものだとすれば、本人に責任はない。急に暴れだして周りが迷惑する、なんてことも可能性としてはあるのかもしれないが、きわめて低いはず。何より彼自身が毎日損なわれて気の毒な状態になっている。

あまりに身近すぎて、今までは何もできなかったが、少し離れた場所に来ると、そういったことが見えてくる。そこで、会社の健康保険組合に相談のメールを出してみた。すぐに連絡があり、勤務医の先生に状況を伝えて欲しいとのこと。そこで、医務室に出向いて今まで見聞きした彼の言動について話してみた。あきらかに統合失調症の症状と思われるらしい。本人に直接「病気でしょ」というアプローチはできないので、今後じっくりと対応していきたいとのこと。ほっとした。

正直言って、精神を病んでなくても彼とは友人になれるとは思えないし、むしろ一番嫌いなタイプではあるけども、病気であること自体は気の毒だ。
彼にとって、これがベストな対処だったのか、おせっかいすぎなかったか、疑問がないわけではないけれども。