天王寺動物園で汗だくになる

バスで天王寺に向かう。おかしな老人が車内で騒いでバスを降ろされた。大声で運転手に理不尽にからみつづけていたので、安全上適切な対応だったと思う。乗って来たときに偶然目があっていたのだが、あきらかに目つきがおかしく、誰かにからもうという気満々だと感じていた。案の定、運転手がマスクをしていることに目をつけ「気味が悪い」だとか「風邪をうつすな」など好き勝手に大声で騒ぎはじめ、延々とそれを繰り返す。一度は運転手に注意されて「すいません」と言ったが、直後から同じことを繰り返し言い続けたのでバスを降ろされたのだ。他の乗客からも「あんたおかしいよ」と言われるほどだった。いろいろとある大阪市交通局ではあるが、このときばかりは乗客全員が運転手の味方だったと思う。

あべの橋」で降りて、ずいぶんしばらくぶりにマクドナルドに入った。ヨメがどうしても入りたいということだったので。

その後、動物園まで歩いて向かった。以前いた不法占拠カラオケや、陸橋上の浮浪者のテントもなくなっていた。そういえば、天王寺公園南側の歩道は工事中で、以前は大量にあったテントはもうなくなっている。道路を超えてJRの線路側の歩道にわずかに残るだけになっている。ただ、立ち退かせただけでは根本問題になっていないように思う。

動物園はそれほど混んでおらずゆっくり動物を見ることが可能ではある。ただ、日向はあまりに暑いので、長時間見るのは耐えられなかった。ゾウ、クマ、アシカと観てから、いい加減汗だくになってきたので、私の記憶で唯一冷房が入っていたはずのコアラ館へ向かう。途中サル、シカを観る。案の定コアラ館だけは冷房入りである。コアラだけが特別扱いであることにヨメは強く印象付けられたらしく「生まれ変わるならコアラだな」と意味のないことを言っていた。私が思うに生まれ変わりなんてことはないし、あったとしても冷房付きの部屋でゆっくりできるコアラになるとは限らない。それに、他の動物もほとんど冷房付きの部屋になっているはず。ポイントは観ている側に冷房がついているかどうかということだ。

コアラ館の隣の事務棟で行われていた展示に誘われて入った。戦争中に犠牲になった動物の展示会とのことだった。中に入ると品のいい60代位の女性が朗読を行っていたが、部屋全体としてそれを静かに聞こうという雰囲気がなく、ざわざわしていた。子供が騒ぐのに注意しない親。朗読している女性が気を悪くしているのではないかと、そればかりが気になり、早々に出てしまった。

それからキリン、ペンギンと続けて観た。シロクマやペンギンに大阪のあの温度は辛いんじゃないかと思うが、ペンギンは特に冷房もない屋外の暑さの中にボーっと立っていた。

「ヒト」用の檻があったので、ヨメと娘が入って写真を撮っておいた。これは関西流のギャグ企画だと思うが、意外と他の客には人気がないようだった。

前回は工事中だったサバンナゾーンが完成していて、ライオンはそちらに移されていた。
サバンナゾーンというのは、動物をなるべく自然な感じで見せようという試みで、檻やコンクリートの味気ない区画ではなく、自然を模した意匠を施した区画を用意してそこに動物を配置していくための場所だ。すでに天王寺動物園では全体の半分近くがこの見せ方になっている。園の南側のゾウの森と、北側のサバンナゾーンだ。これはなかなかいい見せ方だと思う。ゾウの森が、サバンナゾーンでないのは、どうもゾウの森がタイを模しているからのようだ。たしかにタイはサバンナではない。

ライオンを観ていたら、オスのライオンが急に暴れだした。屋内の部屋への出入り口のほうへ行って何かに飛びかかった後、閉じられた扉を前脚で思いっきり叩いており、なかなか迫力があった。いったい何があったのかわからないが、珍しい光景を見ることができてよかった。

徐々に閉園時間も迫っており、カバは水槽の中に見えなかった。サイも屋外に残っていなかった。充分堪能したので、そのまま園を出た。