11周目のピットストップで、シューマッハが佐藤琢磨の前に復帰した謎

ラルフ・シューマッハのクラッシュにともなう黄旗、セーフティーカー導入直後、ピットインしたフェラーリのうち、ミハエルシューマッハがピットインしていない BAR の佐藤琢磨や、バトンの前に復帰できたのはなぜか。

驚いたのは AUTOSPORT 誌(日本版)の 2004年6月24日発売分。明確に「ミハエルは、バリチェロに後ろを押さえさせて、BAR の前で復帰した」という書き方がされている。厳密に言えば、もしこの言葉どおりならペナルティの対象なのではないか。

川井ちゃんの見方は次のようなものだった。フジテレビのサイトのストリーミングファイルで速報レポートしていた際とは、少し認識が違ってきているように感じた。その後いろいろ調べたのだろうから当然だ。

  • バリチェロが減速したのは、確かにチームオーダーではないかもしれない。シューマッハにぴったりついていっても、ピットで待たされるだけ。それなら、ゆっくり走ってシューマッハのピット作業が完了した時にピットインしたほうがよい(マシンにとっても)。
  • 黄旗で同一周ピットインのような場合をフェラーリは事前に想定して、どういう行動をとるかも決めていたのではないか。
  • また、フルコースコーション(コース全体で注意走行)なのだから、ゆっくり走るのが当然。

これだと、バリチェロがゆっくり走ったことについては、レギュレーション違反の可能性は低くなる。
しかし、これによって、ミハエル側の対応に大きな疑惑が持ち上がる。

  • 全コース黄旗になった周回で、1分30秒台(ピットイン込み)で走っている。しかも第1セクター、第2セクターともに、前の周よりもタイムが短縮されている。
  • 今シーズンに入ってから、セーフティーカー導入時のピットインについてチームの首脳陣の間で話し合いがあり、ルールが決められていたはず。それは、フルコースコーションの状態でピットインの際に後続と差をつけるためにスピードを上げてはいけないというもの。
  • ミハエルはその取り決めに違反していないか?ピットのロスタイムが20秒程度で、ベストラップが1分10秒強だとすると、1分30秒というのは、フルコースコーションなのに、ほぼ全力で走っていたのでは?

ふむふむ。このあたりになると難しい。コントロールラインと、フェラーリのピットの位置も、かかわってきそう。
この周他のドライバーは次のタイムで周回している。

BAR の二人はピットインしていない。ただ、あまり減速していないようだ。ラルフの事故の現場を低速で徐行したことを考えると、その他の部分は前の周回と同じ位のスピードで走ったのではないか。しかし、あくまでピットインしていないので、上記のチーム首脳の取り決めには抵触しそうにない。