ターミナルサービス:ライセンスの考え方

Windows Server 2003 のターミナルサービスについてはマイクロソフトのヘルプ情報サイト中の「http://www.microsoft.com/resources/documentation/WindowsServ/2003/standard/proddocs/ja-jp/ts_chm_top.asp?frame=true」にも情報があるが Windows Server 2003 のサイト下にある「http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/technologies/terminalservices/default.mspx」の方がわかりやすい。スポット的に参照するための文書と、概要から説明する体系的な資料との差があるのかもしれないが、ライセンス種類の翻訳の仕方が違っていたりと、不備も大きいと思う。混乱してしまう。

さて、「http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/techinfo/overview/termservlic.mspx」を見る限り、どうもマイクロソフトは従来いっしょに「ターミナルサーバーサービス」と呼んできたものをまず二つに分けたいようだ。

前者は、Windows 2000 Server まで「アプリケーションサーバーモード」と呼ばれていたもののようだ。これは、本格的な「シンクライアント」環境を作るもので、複数のユーザーがサーバーにログインしてサーバー側の CPU やメモリ、ハードディスクなどを使うしくみだ。手元にあるマシン(クライアントマシン)はサーバから送ってきた画面イメージをそのまま表示し、キーボードやマウスからの入力をサーバに送るだけの役割の''端末''になる。この機能を使う場合、追加でライセンスを購入する必要がある。「クライアントソフト」は、古い Windows たとえば Windows98 や NT 用にも無料で提供されているため、それを使ってアクセスして Windows Server 2003 の機能を使われてしまうと、サーバだけ最新の OS にしておけばよくなり、Windows のバージョンアップによるマイクロソフトの利益が減ってしまうからだ。

管理用リモートデスクトップは、特に追加ライセンスなくサーバにアクセスして管理ができるもの。サーバを専用の部屋に設置していて管理者の居室とは別の場合など、便利に使っている場合が多い。このモードでは、たしか同時に二つの「セッション」まで利用できたはずだ。管理者が二人いても、同時にサーバの画面を表示させて作業することができる。

上記二種類のサービスは、サーバ側でどちらか一方を選ぶ必要がある。

管理用リモートデスクトップの場合、ライセンスは関係ない。
ライセンスが関係してきてややこしいのは、ターミナルサーバー(アプリケーションサーバーモード)の場合である。

Windows Server 2003」を対象にすると、ライセンスは三種類ある。

上記「http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/technologies/terminalservices/default.mspx」では、「デバイス CAL」を「接続デバイス数ライセンス」、「ユーザー CAL」を「接続ユーザー数ライセンス」と訳しておりわかりやすい。

この両者の違いは、「接続ユーザー数ライセンス」が利用者数だけ必要なライセンスで、「接続デバイス数ライセンス」が、サーバに接続する「クライアント」マシンの数だけ購入が必要なライセンスであるところ。
マイクロソフト社としては、どちらかユーザーとしてお得なほうを選んでもいいよ、というせめてものサービスのつもりのようだ。
つまり、ひとりで4台のノートPCを使っていて、そのいずれでもターミナルサーバを利用する場合、接続ユーザー数ライセンスならひとつ購入すれば済む。しかし、接続デバイス数ライセンスになると、4つ購入しなくてはならない。このときは接続ユーザー数ライセンスを買えばいい。
逆に、職場に1台しかPCがなく、ユーザーIDだけは10名分あったとする。
さらにそのPCから、別のターミナルサーバを利用するような場合、接続デバイス数ライセンスならひとつで済むが、接続ユーザー数ライセンスだと10も買わなくてはならない。
だからこういう場合は接続デバイス数ライセンスを買ったほうが特だ。

この件については、http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/community/centers/terminal/terminal_faq.mspxのライセンスの項に以下のようにまとめられている。

Q. Windows Server 2003 を使用しています。接続ユーザー数ライセンスと接続デバイス数ライセンスのどちらを選択すれば良いでしょうか?

A. デバイス数がユーザー (たとえば移動ユーザーを含む) 数を上回る場合は、接続ユーザー数ライセンスを選択します。 ユーザー数がデバイス数を上回る場合は、接続デバイス数ライセンスを選択します。

ただ、この文面を読んでも、なぜそちらを選択するのかぶっちゃけたところがわからない。つまり、そっちを選択した方が購入ライセンスが少なくてすみまっせ、お安くしてきまっせ、という、せっかくのマイクロソフト社のサービス心がアピールされていないのだ。このあたり、意外とマイクロソフト社はぶっきらぼうで、表現が下手だ。