スーパーコンピュータ....

事業仕分けの議論の中で、スーパーコンピュータの研究に金を出すべきだ、という論調にはIT業界のはしくれにいるものとして驚いた。

いまどきスーパーコンピュータなんてものに価値があるのか。マスコミがやたらクラウドクラウドと騒いでいるのもと思っていたが、そのマスコミとテレビ局などのマスコミは実は全然別物だったようだ。

PCのCPUは、単純な処理速度向上の行き詰まりから、演算処理を複数並列処理できる「マルチコア」にシフトした。インテルのメインストリームは、当初消費電力節約のために傍流として生まれたノートPC用のCPUの設計思想に基づくマルチコアにとって替わられている。

Googleは、そこらのPCとたいして変わらないCPUやメモリを何十万個並べ、それを使いこなすソフトウェアによって考えられないような規模のコンピュータ処理サービスを世界中に提供している。

宇宙から受信した大量のデータの解析を、世界中の個人のPCで手分けしておこなうためのソフトウェアを配布したSETI@Homeや、遺伝子解析のプロジェクト、そして少し毛色は異なるが数十万のPCが連携して処理を行うWinnyと同じく、処理を「分散」させサービスを「統合」する考え方だ。

日本で最も成功した分散コンピューティングシステム Winny の開発者は有罪になった。
世界中の書籍を勝手にスキャンして著作権を踏みにじると訴訟沙汰になっているGoogleの創業者は考えられないくらいの富を手にした上で、世界の数億人相手に、新たな技術を使ったサービスを次々に提供している。

日本のITの発展をほんとうに望むなら、その現実をまずしっかり見据えたほうがいと思う。